オンライン配信、DX支援など事業化
八芳園(東京都港区)は、コロナ危機からの脱却を図るため、従来の結婚式場や宴会場の運営だけでない、DXを活用した新規事業を展開し、「総合プロデュース企業」として転換を図っている。新たな事業として、3月からは伴走型DX推進支援サポート「SOLVE EIGHT」を始動、4月からはオンライン配信スタジオ「KOUTEN」をオープンするなど、新たな取り組みを次々と発表。いち早くDX化に取り組んだ知見を生かし、新規事業を展開する。
同社は、1943年に料亭を東京・銀座で開業。昨今は、東京・白金台に広大な庭園を備え、ブライダル企業として知られてきた。最盛期にはブライダルが年間3千組、コロナ前も年2千組の婚礼を受託してきた。同社経理部の平沼快允マネージャーは、「ブライダルは全体の7割を占めていたが、4、5年前からは他事業を育てる声は上がり、特にMICE事業に力を入れてきた」と振り返る。
MICE事業は、中間に企画会社を入れずに企画から運営までをワンストップで実施。社内にクリエイティブチームを設け、対応の速さやコストパフォーマンスの高さを売りとしてきた。
コロナ禍に入り、ブライダルやMICEの受注は低迷するも、危機を契機に事業の見直しや、新規事業を展開。結婚式事業では、配信の取り組みをはじめ、オンラインでのブライダルや、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドでのブライダルを開始している。
4月1日には、オンライン配信のサポート、トータルプロデュースを行う新オンライン配信スタジオKOUTENをオープンした。コロナ禍前までは宴会場だった場所を改装し、3種のスタジオを新設。配信機材一式を利用できるほか、同社の”HAPPO―ENオンラインイベントプロデュースチーム”が、設備手配や内容構成、当日の配信やアーカイブ作成までをサポートする。同社DX推進部の小川雅弘マネージャーは「これまでのブライダル事業・イベントプロデュース事業によって培われたノウハウを生かしている」と紹介する。
3月9日からは、伴走型で企業のDX化を支援するサービスとしてSOLVE EIGHTを開始。業務改善プラットフォームによるシステム構築を活用するなど、企業における事業や業務のデジタル化を企画、設計からサポートし、伴走しながら解決へと導いている。
このほか、世界的大会の開催に際し、全国の自治体と相手国のホストタウン交流に携わり、これをきっかけに、自治体の課題を食とイベントを軸に解決していく事業も行っている。
同社は、コロナ禍からのV字回復に向け、「健康経営」による持続可能な働きやすい環境づくりも推進。置き型社食サービス「オフィスおかん」の導入を始めている。
オフィスおかんは、「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッション・ステートメントに社会課題に取り組むOKAN(東京都豊島区)の法人向け置き型社食サービス。専用の冷蔵庫とボックスには、管理栄養士監修の全国各地の地の物、旬の物を使用したオリジナルの惣菜や白米、玄米、カレーなどが入り、全て1品100円で購入できる。全国で約3千社・事業所で利用されている。
平沼マネージャーは「コロナ禍からの回復が始まり人手が増える中、止めていた従業員への食事の提供が必要となり導入した。コロナ前の外注での食事よりも安価な場合があるほか、特に温かい食事は好評。従業員が健康で生き生きと働ける環境を作ることは重要だ」と話す。昨年12月から導入。平日は1日100食、土日で150食が出ているという。
オンラインイベント(イメージ)
配信スタジオを3室用意
置き型社食を導入
平沼マネージャー